株式会社ファミリーマート

ご利用サービス:ビジネススキル研修、最適化学習、社内講師育成、プレセナアカデミー

interviewee:人財開発部 社員教育企画・業務グループ マネジャー 石山様

 

組織の問題解決力向上にむけて
~How思考では通用しない時代の社員育成の在り方とは~

「あなたと、コンビに、ファミリーマート」をコーポレートメッセージに掲げ、国内・海外で合計2万4000店以上の店舗を持ちつつ、デジタルを活用した多様なサービスにも力を入れているファミリーマート社。※2022年11月現在

この度、ファミリーマート社の教育体系構築や育成施策を推進されている石山哲也様と弊社執行役員柴田との対談が実現。
組織の基盤となる『共通の仕事の進め方・考え方』を反映した教育体系構築を推進される上での課題と施策について、お話を伺います。

※本インタビューは2022年9月27日に行われた弊社セミナー「組織における共通言語化、どう実現する?」の対談ライブでお話いただいた内容を基に構成しております。

貴社の人材育成におけるミッションとその背景をお聞かせください

【石山様】
2016年にサークルKサンクスとの統合が決定したことにより、まずは統合作業が当時の最優先事項でした。

統合作業は無事に完了し「ハード面」は整いましたが、一方で「ソフト面」、いわゆる社員の知識やスキルの統一の必要性が出てきました。
異なるバックグラウンドを持つ社員が混在する中で、1つの会社として社員にどのような知識・スキルを付与していくべきなのか・・・。

2018年までの統合の作業は決まった標準化されたものを進めるため、ある意味*How思考®でも良かったのですが、様々な環境変化に対応していくためには一人一人が課題解決する力を身につけなければならない。そういった背景で2019年に人事教育部が創設され、人材育成体系を整備していく活動が始まりました。

特に、自律型人財の育成、キャリア形成の推進は力を入れる必要があると考えており、人財開発部のミッションとして掲げています。

*How思考®
問題解決のための対策に注視してしまうばかりに、そもそもの原因検討・問題の特定がおろそかになってしまう思考の癖(商標登録番号:第6257221号)

【柴田】
ありがとうございます。貴社と実際に議論させていただく中でも、ミッションへの言及が多く、ミッションドリブンで様々な検討を進めている印象があります。今回はこのミッションをベースに実際にどのようなことに取り組まれたのかについてお伺いできればと思います。

Issue1:コンピテンシーと整合する教育体系をどのように構築し、機能させていくか

~「重ね塗り」によって、組織における学びのムラをなくす ~

【柴田】
当時、コンピテンシー(人財要件)はあるが、コンピテンシーに整合する効果的な研修体系が存在しないことを課題として捉えていたと伺っています。実際にどのように取り組まれたのでしょうか。

【石山様】
「面白かったけど仕事には使えない」など、研修のための研修になることを避けたいと考えていました。
問題解決などのコンセプチュアルスキルは1回学んだだけでは身に付かない。どうしたら社員に「繰り返し学ばなければいけない」と思ってもらえるかを考えた結果、コンピテンシーと必要なスキルを紐づけた教育体系を構築し、習得したスキルを仕事で行動発揮することができれば評価が上がる、という仕組みにすることにしました。
具体的には、プレセナさんの力もお借りしながら、職責別に規定されているコンピテンシーを体現するために必要なスキルを整理し、そのスキルの習得につながる研修プログラムを各階層ごとに設計していきました。

【柴田】
ありがとうございます。「コンピテンシーはできた、ただ1つ1つのプログラムをどのように落とし込み、育成体系を創っていくべきか」については多くの人事の方が悩まれるポイントかと思いますので、考え方の一例としてご紹介いたします。

▼参考:コンピテンシーから「育成体系」への落とし込みの具体的な手順

※クリックで資料をご確認いただけます

【石山様】
新しい教育体系ができた段階では学びの「ムラ」、すなわち特定の階層において習得して欲しいスキル・知識を、習得している人とそうでない人がいる状態は避けられませんが、大事な考え方はできるだけ全世代に浸透するようにしたいと考えています。

人によっては「既に学んだ。わかっている」というスキルでも「大事な考え方だからこそ『重ね塗り』が必要だ」ということを理解してもらっています。
そのような取り組みによって様々な世代から「How思考®」という言葉が聞かれたり、問題解決の考え方が浸透しつつあるということを感じています。

【柴田】
仰る通り、組織へのスキル浸透を目指すうえで、ただ研修をやるのではなく「ただしく」「ずっと」「みんなで」実施ができるように環境を整えていくことが重要ですよね。具体的にどのようなことを行っていったのかについては後ほどお伺いしたいと思います。

▼参考:研修設計上の注意点

Issue2:「ただしく」「ずっと」「みんなでやる」ための効果的・効率的な施策とは

~「目的・効果」に合わせた「手段」の使い分け ~

【柴田】
貴社では、日本全国に店舗・事業所をお持ちであることから、社員の方も様々な地域にお住まいかと思います。移動時のコストはもちろん、移動の間に止まってしまう各種業務の効率性も考慮し、研修のために安易に社員の方を集めすぎない、という方針を早くから持たれていた印象です。先ほど、階層別研修においては「ただしく」「ずっと」「みんなで」が重要だという話をしましたが、現実的には厳しい状況の中、どのように取り組まれたのでしょうか?

【石山様】
研修の費用対効果を明確にするのは難しいですが、やり方次第で効率性を高めることはできるのではないかと考えました。
まずは社員を「集めて学ぶ内容」「集まらずに学ぶ内容」を定義し、マインドセットやトランジションのタイミングで学ぶべきものはリアルで集まってもらい、知識・スキルのインプットはeラーニングで学ぶなどの使い分けをしました。
現在は主要なスキルのインプットは、アセスメント+eラーニング一体化のサービスである*最適化学習プランを使っており、自身の思考力を把握したうえで必要なeラーニングを学ぶサービスを利用しています。プレセナさんのeラーニングの特徴である、回答機能によって流し見ができない点は、理解度を深める上で非常に良い機能だと感じています。
また、外部の講師に教えてもらうべきもの、社内の講師が実体験に基づき教えるべきものも定義し、社内の講師が教えたほうが効果的なものは内製で教育できるような仕組みを設計しました。
このように、eラーニングや社内の講師を起用することで、できるだけコストを押さえつつも効果的・効率的に多くの社員に教育することが可能になったと感じています。

*最適化学習プランの詳細や事例はこちら

【柴田】
貴社の社内講師養成はオンラインでの講義を前提とした講師養成であったため、当時弊社がご支援していた中でもかなり先進的でした。実際にやってみての現場の声はどのようなものがあったのでしょうか?

【石山様】
講師は実務での事例を交えながら講義を進めるのですが、その事例が社内事情をわかっている講師だからこそのものが多く、受講生からはすんなりと理解できるといった声があがっていました。費用面だけでなく、このような効果も社内講師を起用するメリットだと感じています。
講師側は、受講者である社員の声をすぐにダイレクトに聞くことができるので緊張感はありますが、回数を重ねていく中で、チャット機能を使い受講者とインタラクティブなやり取りを行うなど、工夫やオリジナリティも出てきました。

▼参考:教材開発・社内講師養成の概要

【柴田】
「ただしく」「ずっと」「みんなでやる」ための効果的・効率的な施策として、eラーニングや社内講師を活用していただいているわけですが、今後に向けての残課題はありますでしょうか。

【石山様】
現在はeラーニングは必須受講として行っていますが、できれば強制ではなく手上げ制にし、階層関係なく受講できる環境を用意するだけで、自主的に学ぶ風土ができあがればよりよいと思っています。

Issue3:「より学びたい!」という社員をどう支援するのか

~ マーケットの中で自分の立ち位置を知ることが、自律学習の第一歩 ~

【柴田】
自主的に学ぶ風土をつくりたいという思いがあり、ミッションにも「自律型人財の育成」を掲げられていますが、「もっと学びたい!」という個人に対して、どのような取り組みを行っているのでしょうか。

【石山様】
自己啓発プログラムとして、eラーニングや各社研修会社が提供している集合研修などを用意し、一部費用を会社で負担しています。
eラーニングだけではなく、オンライン上であっても社外とコミュニケーションが出来る集合研修などを通じて、社外と触れ合うことで、マーケットの中での自分の立ち位置を理解することができ、それが自律型につながると考えています。

【柴田】
自己啓発のプログラムの1つとして、受講生が自ら受講科目を選び、他社の受講者と議論しながら学べる弊社サービス、「プレセナアカデミー」を導入いただきましたが、反応や効果はいかがでしたでしょうか。

【石山様】
講師に丁寧に熱心に指導いただいたなど、一定程度の反響があり参加者の評価は高く、リピートしている人も多いです。最近では、一度学んだ人がより実践できるように用意された既修者向け講座も案内していますが、「仕事に直結するスキルを学べた」という声もありました。

▼参考:プレセナアカデミーの概要

【柴田】
自律的人財のための学びの場を積極的に用意されている貴社ですが、場を用意しても人が来ない、そもそも自律的な人財をどう生み出していくかを悩まれている企業も多いと思います。その点について、何か取り組みをされているのでしょうか。

【石山様】
例えば、受講した人のアンケートをメールやポータルなどに掲載し、生の声から学びの効果を実感してもらったり、階層別の必須研修の閉講時など、最も学習のモチベーションが上がったタイミングで案内を行うなどの工夫をしています。

また、受講者の上司の方々も巻き込み、メンバーのパフォーマンス向上のためのスキル教育であることを理解してもらうことも大事なポイントかと思っています。研修開講案内時に本人に連絡するだけでなく、上司に対しても支援をお願いするための動画のメッセージを送り、多くの人を巻き込みながら自律的に学んでもらえる環境をつくっています。

最後に同じように人材育成に携わるみなさまへのひとこと

【石山様】
最近では「人的資本」がキーワードになっているなど、人材育成の領域は追い風であると感じます。一方で、目につきやすいキーワードだけにとらわれるのではなく、自社にとって何が必要なのか、社員や経営が求めていることは何かなど、本質的な部分を考えていくことが大事なのではないかと思っています。

【柴田】
石山様、お忙しいところありがとうございました。

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